余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~
──ところが、十分ほど経っても天乃は戻ってこない。歓談の時間が一旦終了し、これから余興の一環で白藍総合病院を紹介するために作られた動画の上映が始まるというのに。
それからしばらく待っていたが来そうになく、なんとなく不安になって静かに会場を抜け出した。
トイレはやや離れた場所にあるから迷ったのだろうか。天乃は俺と違って抜けているところは少ないし、案内もあるから考えにくいが……。
そう考えながら向かっていた時、前方からりほさんがやってきた。なにか知っているかもしれないと思い、声をかける。
「りほさ──」
しかし呼び止めようとした瞬間、彼女は俺を避けるように顔を俯けて軽く会釈し、横を通り過ぎてそそくさと会場へ向かってしまった。
なにか様子がおかしいと直感したものの、今は天乃のほうが心配なので再び足を進める。トイレの近くまで行くと、廊下にあるひとり掛けのソファに腰を下ろしている彼女を見つけた。
ほっとして「天乃」と呼びかけると、彼女はビクッと肩を震わせてこちらを振り向いた。その表情がどことなく怯えたような、不安げなものになっている気がしてすぐに駆け寄る。
それからしばらく待っていたが来そうになく、なんとなく不安になって静かに会場を抜け出した。
トイレはやや離れた場所にあるから迷ったのだろうか。天乃は俺と違って抜けているところは少ないし、案内もあるから考えにくいが……。
そう考えながら向かっていた時、前方からりほさんがやってきた。なにか知っているかもしれないと思い、声をかける。
「りほさ──」
しかし呼び止めようとした瞬間、彼女は俺を避けるように顔を俯けて軽く会釈し、横を通り過ぎてそそくさと会場へ向かってしまった。
なにか様子がおかしいと直感したものの、今は天乃のほうが心配なので再び足を進める。トイレの近くまで行くと、廊下にあるひとり掛けのソファに腰を下ろしている彼女を見つけた。
ほっとして「天乃」と呼びかけると、彼女はビクッと肩を震わせてこちらを振り向いた。その表情がどことなく怯えたような、不安げなものになっている気がしてすぐに駆け寄る。