スカイ・ネイル


景色がよく見えるあの丘から少し降りたところに家はある。
血が繋がっているわけではないが、気がついた時から俺はルチルと生活を共にしている。


それからもう一人。

ただいまと言いながら扉を開くと、少し古くなっている蝶番がキィと音をたてた。

「おじいちゃん、帰ったよー」

ルチルがひょこっと部屋に顔を出すと、白髭を伸ばしたお爺さんがそこにいた。
いつもならもう寝ている時間なのに、起きているなんて珍しい。
こちらを見るなり安心したような表情でにっこりと微笑みおかえり、と返事をしてくれる。

自分の帰りを待ってくれていたのだろうか。
だとしたら申し訳ないことをしたな。



彼の名はギルフォード。
ルチルのお祖母さんのお兄さんらしいが、彼女は本当のお祖父さんとして接している。
両親がいなかったりと、彼女もまた複雑な状況にあるのだが、細かいところまではさすがに聞けなかった。

今はこの三人暮らしだ。


寂しい、悲しいといった感情すら一切周りにみせない。
彼女をそこまで支えているものは何なのか。


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