スカイ・ネイル
いつの間にか畑の周りに出来ていた人だかり。
そんなにも珍しいのか、今まで聞こえてこなかったざわめきが俺達を包み込む。
必要な知識は一通り男に教え、これからは徐々に街の人達にも広めていくようにと話を進めた。
「あとは水だな。この街の水源はどうなってる?」
「そ、それが水も今ギリギリの状態で。雨もここ数年降ってないんだ」
「おい、まじかよ。それでよくこの自然は保たれてんな」
肝心なところを見落とし頭を抱える。
水がなければ作物は育たない。
「・・・なあ、スペクルム」
『なあに?』
「お前、雨は降らせられるのか?」
そう聞くと彼はにっこりと笑った。
人目につくと注目を浴びそうだったので、そっとその場を抜け出し木の陰に身を隠す。
そこで俺は小さく唱えた。