スカイ・ネイル
『彼が力を使ったから』
モニアはちらりと建物の陰に背を預けている人物に目をやる。
「レイが?どうやってそんなこと」
『私は風と光を司る女神なの。この世の者達全てを幸福へ導くのが私の役目・・・。そして今の私の主は彼。簡単ではないけれど、レイが望むのであればそれは可能になるわ』
スカイ・ネイルを使うわけでもないのに可能なのか。
幸福へ導くためならば・・・。
過去のことをモニアに聞こうとしたが、先程まであったレイの姿がいきなり見えなくなりどうしたのかと急いでその場に駆け寄った。
倒れ込んでいた彼の体を起こしてやるが、どこか焦点が合わず息苦しそうにしている。
『魔力の大半を消費したの。気候を操るのは容易ではないから。でも大丈夫よ、数日もすればまた元の状態に戻るわ』
「!・・・なんで、そんな」
「・・・・・・らない」
「え?」
「自分でも・・・わからない。ただ、お前を見ていると無性に虫の居所が悪くなる」
な、なんだよそれ!
俺が何をしたっていうんだよ!
本当に何を考えているのか読めない奴だな。