スカイ・ネイル
村にいた頃は毎日のように過去を頭の中で探っていた。
見つかりもしない記憶の断片を時間の許す限り、ぐるぐると暗闇の中を一人で彷徨うかのように。
けど今は何故だか前ほど深くは考えなくなっていた。
・・・いや、考える時間がなくなったという方が正しいだろうか。
周りに耳を、目を向ければそこにはいろんな景色が広がっていて。
全てが新鮮に思えた。
目まぐるしい日々。
自分でも知らなかった自分に出会えているような感覚。
空を見上げるのは癖みたいなもので、ふとした時に抜け殻のようになっているのかルチルはそれを気に掛けてかよくそばで寄り添ってくれる。
今日も変わらず夕飯は質素だったが、みんなの何気ない会話や笑い声が心を温かく癒してくれた。
この先も知らない地へと足を踏み入れいろんな経験をするのかもしれない。
剣を交えて戦うことだって。
早く残りの三人を見つけ、誰かがスカイ・ネイルの力を使う前に封印しないと。
彼等の旅はまだ、序章に過ぎない。