どちらとの恋を選びますか?【前編】~元彼vs同期の秘めたる愛の行方
 翌日の夕方、待ち合わせ場所の駅前に行くと、夏目君が待っていた。
 いつも一緒にいるから分からないけど、普段着だと、爽やかさが増している。

 女の子達がチラッと夏目君を見て、「カッコいいね、あの人」そう言いながら、通り過ぎるのも納得がいく。

 「夏目君、お待たせ」
 「はぁ…」
 「な、何よ、会っていきなり、ため息って」
 「俺、春風の浴衣姿、見たかったなぁ」
 「だって、動きにくいよ」
 「まぁ、いいよ。それでも可愛いから」
 「夏目君…褒めて何か企んでるでしょ?」
 「バレた?そこのかき氷のお店、美味しそうだから、付き合ってもらおうと思ってさ」
 「そんなこと、褒めなくても、食べるに決まってるじゃない」

 照れ笑いする夏目君の横顔…
 いつも見慣れている笑顔も、雰囲気が違うと、少しドキッとする。

 「俺、サッパリとレモンにしようかなぁ…春風は?」
 「私、マンゴーがいい!」

 一緒に食事したりする事はあったけど、2人で遊びに出掛けるのは初めてで、気心知れた夏目君でも、少し緊張する…

 「いただきます…うん、これ、美味しい!」
 外で食べるかき氷なんて、いつぶりだろう…
 私は幸せを噛み締めて食べていた。

 「春風、あのさ…」
 「ん?」
 「それ、一口、食べさせて」
 「いいよ、どうぞ」

 私が、かき氷を差し出すと、
 「せっかく、デートみたいなんだからさ、あーんしてって、食べさせてくれると思ったのに…」
 そういいながら、スプーンですくって、食べていた。
 「デ、デートじゃないからね!」
 もぉ、今日は調子が狂うことばかり言って…
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