どちらとの恋を選びますか？【前編】～元彼vs同期の秘めたる愛の行方

　ここ…先輩と2人で来た時、見ていた場所だ。
　不思議…導かれるように、ここに来るなんて…

　「綺麗だなぁ。音も体中に響く」
　「そうだね…」

　目の前にいるはずも無い、あの時、花火を見ている2人の姿が、残像のように映し出される。

　幸せだった…花火の音と、好きのドキドキに胸が高まって、体中がざわついていた。

　花火に照らされた先輩は…凄くカッコ良かった。

　そして、その後先輩と…

　「春風…どうしたんだ？」
　夏目君の言葉にふと我に返ると、知らないうちに、涙が流れていた。

　「ご、ごめん。花火なんて久々に見たから、感動しちゃって…」
　「春風も女の子だな」
　「だから、女の子じゃなく、女性でしょ？」
　ただ笑って、花火を見つめる夏目君の横で、涙を拭いて空を見上げた。