どちらとの恋を選びますか?【前編】~元彼vs同期の秘めたる愛の行方
 2人で歩いて帰る道。
 気付いたのは、私の心にまだ、先輩がいる。

 もう忘れた、そう思っていたけど、昨日のことのように思い出せる。

 どれだけ嫌いになろうとしても、大好きだったのは事実で、素敵な思い出には違いない。

 青春の1ページとして、いい思い出として、心に収めれば、それでいいのかな…

 「ごめん、春風。少し電話していい?」
 「うん、いいよ」
 夏目君は私から離れて、電話を掛けていた。
 凄く…険しい顔…
 どうしたんだろう、何かあったのかなぁ。

 「お待たせ。悪いけど俺さ、今から実家に寄るから、駅から1人で帰れる?」
 「うん、大丈夫だよ」
 「送れなくてごめん」
 「これだけ人がいたら、大丈夫だよ」
 「誰にも付いて行くなよ。帰り道、気をつけろよ」
 「もぉ、分かったから」
 「家に着いたら、必ず連絡しろよ!」

 夏目君は駅の改札口で別れて、見えなくなるまで、見送ってくれた。

 いつも気に掛けてくれて…
 そういう人がいるって、何だか嬉しい。
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