どちらとの恋を選びますか?【前編】~元彼vs同期の秘めたる愛の行方
 陽先輩はただ静かに、私の傍に寄り添い、家の前まで送ってくれた。

 「じゃあ、また週末に会おうな」
 「送ってくれて、ありがとう、陽先輩」
 「見送るなよ、帰れなくなるから」
 背を向けて手を挙げると、振り向かずにそのまま歩く、陽先輩の背中を見送った。

 本当はね、次の春に卒業する陽先輩の傍で、一緒にバイトしたいんだよ。
 だって、私、陽先輩のことが…

 陽先輩への気持ちが膨れ上がる…
 胸が…苦しい…

 そして週末を迎え、いつも通りに仕事をこなしていた。
 「何かあれば言えよ」
 陽先輩が、私の耳元で囁いて、優しく微笑みながら通り過ぎた。

 すると、それを見ていた、陽先輩の事を好きなスタッフに、
 「春風さん、そっちより、こっちの仕事、出来て無いわよ」
 「はいっ!すぐ行きます!」
 声を掛けられて行くと、他の人が出来ていないことを注意された。
 分かってるくせに…
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