どちらとの恋を選びますか?【前編】~元彼vs同期の秘めたる愛の行方
 私は…陽先輩の優しさに触れる度に、惹かれていった。

 バイトが終わり、陽先輩と一緒に帰っていると、所々に、大きなポスターが貼ってある。
 夏休みにいつも行われる、大きな花火大会。

 「近くで見たいと、いつも思うんだけど、結局、行った事が無いの」
 「それなら、一緒に見に行こうか」
 「いいの?行きたい!」
 「人混みから、少し離れたところでもいい?」
 「うん、その方が落ち着いて見れるから」

 そして迎えた花火大会の当日。
 初めて好きな人と2人で出掛けて、まるでデートみたい…

 「デートみたいだな」
 涼しげな笑顔でサラッと言われて、私は戸惑う。

 陽先輩みたいにカッコいいと、きっと素敵な彼女がいるだろうし…

 私なんて、妹みたいな存在で、今回、誘ってくれたのは、花火大会に行ったことが無い私を、可愛そうに思っただけだから…
 勘違い…しちゃダメだ。

 「こっちだ」
 人混みに流されそうな私を、庇いながら歩く凛々しい横顔に、ドキドキし過ぎて、フワフワしながら、歩いたのを覚えている。
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