どちらとの恋を選びますか?【前編】~元彼vs同期の秘めたる愛の行方
 そして、少し離れた土手に座って眺めた、夜空に打ち上げられる花火は、凄く綺麗だった。

 眼鏡を外して花火を見る陽先輩に、
 「陽先輩、眼鏡外したら、見えないんじゃ…」
 って聞いてみると、
 「これ、伊達なんだ」
 微笑んだ陽先輩は、寡黙にバイトをしているイメージとは違って、凄く爽やかで、胸のドキドキが止まらない。

 「陽先輩って眼鏡外した方が、絶対モテるのに」
 「それなら余計に外さないよ」
 「えっ?」
 「好きになってもらう人は、1人で十分だから…」

 陽先輩の手が私の手に重なり、やがて絡み取られると、花火の音が響く中、散りばむ花火の光に照らされて、2人は見つめ合う。

 「好きだよ、咲羅」

 バクンッ!と胸が弾む。体中が一気に熱を帯びた。
 陽先輩の瞳に花火の光が映り、吸い込まれそうになる。

 「陽先輩…私も…ずっと好きでした」
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