どちらとの恋を選びますか?【前編】~元彼vs同期の秘めたる愛の行方
 「お待たせしました。初めまして、人事部長の冬月です」

 嘘…でしょ…

 耳に響いたのは、私に愛を囁き、いつも優しく語りかけていた声。

 そして、目に映るのは、私の大好きだった、優しい笑顔。

 陽…先輩…

 「初めまして。ホープアップの夏目と申します。本日は、お時間いただき、ありがとうございます」

 私が呆然としていると、
 「春風?」
 夏目君が囁く声で、我に帰った。
 「…春風と申します。宜しくお願いします」

 名刺交換をする時、あまりに緊張しすぎて、名刺を落としてしまった。

 「し、失礼しました!」
 私が拾おうとした時、陽先輩も拾おうとして、一瞬、手が触れた。

 「大丈夫ですか?」
 耳元で囁く声に、胸の鼓動が跳ねる。
 「は、はいっ!」
 慌てて立ち上がり、恥ずかしさと緊張で、体中が熱を発してる。

 「改めて、宜しくお願いします。」
 「宜しくお願いします、春風さん」
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