どちらとの恋を選びますか?【前編】~元彼vs同期の秘めたる愛の行方
 2人きりになり、冷や汗が出る。
 冷静に、冷静に…

 「な、何かご質問はございますか?」
 俯いて、目の前のパンフレットを何の意味も無く並べ直しながら、質問した。

 「咲羅…久しぶりだね」
 優しく囁く陽先輩の声に、顔を上げると、大好きだった笑顔が目に飛び込む。

 「…お久しぶり…です」
 「やっと会えた…聞いて欲しい事がある」
 「今は、仕事中ですので」
 「仕事が終われば、いいんだね。ゆっくり話をしたいんだ。時間を作ってくれないか?」
 「私は仕事以外、特にありませんので、今、お話下さい」
 「今、話してもいいんだね。彼、夏目さんが帰ってくるよ」

 陽先輩との関係を夏目君が知れば…きっと気を使う。

 「…ご質問がなければ、本日は失礼致します」

 荷物を片付けようとすると、腕を掴まれた。
 「捜したよ、ずっと…」

 哀愁漂う目で、じっと私を見つめる。
 どうしてそんな目で見るの?捨てたくせに…
 悲しいのは、私でしょ?

 「それは、私のセリフです。今更何を…」

 あの時、突然、連絡も取れなくなって、何処に行ったかも分からずで…
 捜したのは…私だよ…
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