どちらとの恋を選びますか?【前編】~元彼vs同期の秘めたる愛の行方
 西さんと付き合ったら、やっぱり、今みたいに、何でも夏目君を頼ったらダメだし、夜、たまに仕事の話をメッセージでやり取りする事も、出来なくなるし…

 「なぁ、春風…」
 「なぁに?」
 「もっと嫉妬しろよ。夏目君は、私のものだって…」
 「えっ?どういう事?」

 夏目君は、頭を抱えるようにして、ため息をついていた。
 「仕事は出来るのに、肝心な事は鈍感なんだから」
 そう言って、結局、相談話をせず、パソコンを閉じた。

 「もういいよ。自分で考える」
 「あっ!ちょっと待ってよ!」
 パソコンを持って、そのまま夏目君は席に戻って行った。

 夏目君…あんなにふてくされて…
 今週、久々に食事に誘って、ご馳走でもしようかな…

 その日の帰り道、まだ拗ね気味の夏目君に、
 「ねぇ、今週末、久々に食事しない?私が奢るからさ」
 そう声を掛けると、「行く!」と満面な笑顔を私に向けた。

 「は、早いね、返事」
 「だって、いつも俺が拗ねると、誘ってくれるから」

 はっ!はめられた!
 そうだ…確かに、仕事を一緒に始めた頃、夏目君が拗ねると、いつもこうなってたっけ…
 最近、無かったから、すっかり忘れてた。
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