どちらとの恋を選びますか?【前編】~元彼vs同期の秘めたる愛の行方
 話も終わり、パソコンと資料を片付けていると、陽先輩が私の手を握った。

 「咲羅、せっかく2人なんだ。俺の話を聞いてくれないか?」
 「離していただけますか?私はお話することはありませんから」

 陽先輩の手を外し、また片付けを始めた。
 「咲羅、お願いだ」
 「では、これで失礼します。また人選が決まり次第、ご報告します」

 夏目君が居ない今、2人だけの空間に、精一杯、感情をコントロールした。

 このままだと、平常心を保つ自信がない…

 急いで立った瞬間、ふらっとして、倒れそうになったのを、陽先輩に支えられた。

 「咲羅…凄く熱いぞ!」
 「すみません…大丈夫ですから」
 「大丈夫じゃないだろ!とにかく、家まで送るから」
 「会社に…戻らないと」
 「無理だ!昔から、無理するなって、言ってただろ!」

 そうだ…バイト先でも言われた気がする…
 陽先輩の顔を見ると、心配そうに私を見つめる。

 陽先輩…そんな目で見ないで…
 必死で隠している、私の心を呼び起こさないで。
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