どちらとの恋を選びますか?【前編】~元彼vs同期の秘めたる愛の行方
 「咲羅…俺に触れられたくないだろうけど、今は我慢しろよ」
 陽先輩に抱き寄せられ、支えられながら、2人でソファに座った。

 「お水飲んで」
 陽先輩は、ペットボトルの水を持って来て、蓋を開けてくれた。

「すみません。ご迷惑かけてしまって」
 「大丈夫か?言ってくれたら、日程を先延ばしにしたのに」
 「いえ…その間に、冬月商事に合った人財が、他に行くかもしれませんので」
 「ありがとう、俺の会社のこと、気に掛けてくれて」
 「私の…仕事ですから」

 隣に座る陽先輩の目を見つめる。
 久々にこんな近い距離で、陽先輩の目を見つめた。

 大人になった陽先輩は、もっとカッコ良くなってる。
 元々、落ち着きのある陽先輩だけど、凛とした佇まいは、後継者としての重圧を、背負っているからかな…

 2歳年上だけなのに、纏う空気は、貫禄を感じた。

 「咲羅…そんな熱っぽい目で、俺を見るなよ」
 「陽先輩…」
 思わず、昔の呼び方で呼んでしまった。

 陽先輩…私の何がいけなかったの?

 本当は聞いてみたかった。

 でも、もう終わったこと…
 
 熱…凄く上がってるだろうな…
 仕事モードの緊張感を保てるのも、時間の問題だ…

 私は頭がボーッとする中、過去の陽先輩との思い出が駆け巡っていた。
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