どちらとの恋を選びますか?【前編】~元彼vs同期の秘めたる愛の行方
【同期の真の姿は、隠れ御曹司】
 病院の薬と、2日間静養したこともあって、次の週の月曜日には、すっかり熱が下がっていた。

 「おはよう、夏目君、心配掛けたけど、治ったから」
 「それは良かったよ。あのさ、悪いけど、今日、午後から外出になってさ」
 「今日は誰と?」
 「あっ、うん…社長となんだ」
 「ねぇ、最近、社長に同行しての外出、多いね」
 「あ、あぁ。ごめんな、ペアなのに任せてばっかりで」
 「そんな事はいいのよ。困ったら先輩達もいるし。ただ、どうして夏目君なんだろうって」
 「俺、入社した時から、気に入ってもらってたから」
 「それだけで連れて行く?」
 「優秀だからだろ?」
 「それはそうかもしれないけど…」

 なんか様子がおかしい。いつもと違って、明らかに動揺して、誤魔化している。

 「夏目君、ちょっといい?」
 打ち合わせのフリして、パソコンを持って、会議室に向かった。

 「夏目君さぁ、話し方や顔の表情で分かる私に、嘘つけるわけないでしょ?」
 「あぁ…うん、そうだな…」

 夏目君の困惑した顔…
 触れられたくない、何かがあるんだ。

 「ごめん、言いたくなかったらいいんだ。一緒に行く時、あまり楽しそうじゃないから、気になってただけなの。ごめんね」
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