どちらとの恋を選びますか?【前編】~元彼vs同期の秘めたる愛の行方
 電車で移動して、訪問先に行く道のり。

 「春風、俺と歩く時は、車道側を歩くなよ」
 「大丈夫だよ。気を付けて歩くから」
 「いいから」

 夏目君は私の腕を引いて、立ち位置を入れ替わる。
 「俺が心配で、気持ちが落ち着かないんだよ。だから、分かったな、約束だぞ」
 「うん…ありがとう」
 「よしっ!いい子だ」

 グッドサインをしながら微笑む夏目君は、見た目も中身も爽やか青年で、きっとモテるだろうな…

 優しいし、明るいし、頼りがいがあって、こんな彼氏だったら、きっと彼女は幸せだ。
 先輩みたいに、寂しい別れ方はしないよね。

 「そんな沈んだ顔して、何か心配事か?」
 「あっ、ううん、ちょっと考え事してただけ」
 「何でも俺に言えよ。1人で抱えるとしんどいからな」

 言えることならいいけど…
 ホテルで愛されて起きたら、彼氏か居なかった…なんて、いくら気心知れた夏目君でも、流石に言えない。
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