どちらとの恋を選びますか?【前編】~元彼vs同期の秘めたる愛の行方
 「いつもありがとう」
 「春風が笑顔じゃないと、俺が悲しいからな」

 仕事をし始めてから、先輩のことを忘れるくらい、必死で仕事に取り組んだ。
 そして、同じ配属先になった夏目君が寄り添ってくれて、1人じゃ無いって、心強かった。
 同期ってだけじゃなく、男女の枠を超えた同志っていう感じだ。

 「そうだね、名コンビだから」
 「そうだぞ。俺、もう他の人と組めないから」
 「夏目君…」
 「ほ、ほらっ!俺のこと、上手く扱えるの、春風くらいだからさ」
 「だって、入社してから、夏目君と過ごす時間が、1番長いんだもん」

 私が声を上げて笑うと、
 「春風は、そうやって楽しそうに、笑っているのが1番だ。そんな春風を俺は、す…」
 話を止めた後、夏目君は言葉を呑んで、私を見つめた。

 「な、何?」
 「す、凄く気の合う、相棒として認めてるんだよ…い、急ごうか」

 目を逸らして、急いで前を歩く夏目君。
 少し、首元が赤くなっているのは、気のせいかな…
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