どちらとの恋を選びますか?【前編】~元彼vs同期の秘めたる愛の行方
 次の日、何事も無かったように、2人はお互い、今まで通りに振る舞った。

 そして木曜日の午後から、企業側からアプローチ出来るプランを説明する為に、冬月商事を訪れた。

 いつもの部屋に通され、陽先輩と挨拶を交わした後、夏目君は、資料を見せながらプランの説明をしていた。
 「このプランもいいですが、経験だけじゃなく、志向もマッチング出来るシステムはありますか?」
 「そうですね…ちょっとお待ち下さい」

 そうだ。最近取り入れた、アンマッチを無くすよう開発した、求職者の希望と、企業が求める人物像をマッチングさせるアプリを伝えたら…
 でも、別の方がいいかな…

 「ねぇ、夏目君。これと…それとこっちのご提案もいいと思うんだけど」
 「そうだなぁ…どちらもいいご提案だけど、こっちの方がいいね」

 2人でしばらくパソコンを見て、小声で話をしていると、陽先輩が静かに声を掛けた。
 「お二人は、息ぴったりですね」

 この声のトーン…そして、蘇る記憶…
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