どちらとの恋を選びますか?【前編】~元彼vs同期の秘めたる愛の行方
 夏目君に告白された夜、色々な思いが頭の中を駆け巡った。
 返事をしないと、と分かっているのに…
 それを止めていたのは、陽先輩の存在…

 「ごめん、追い詰めた…いいよ、俺は春風が好き。それだけだ。春風の気持ちは、春風にしか分からない。でも…」

 夏目君は、優しく微笑み、囁いた。
 「好きは膨れ上がる。ただ…それだけ…」
 「夏目君…」

 深呼吸した夏目君は、
 「さぁ、次の訪問先に急ごうか」
 私の肩をポンっと叩いて、前を歩いた。
 「う、うん」

 それから夏目君は、陽先輩の事は触れずにいてくれた。

 陽先輩はどうしてあんなことを…
 そして、あの声と目つき…
 名前はくせで呼んだだけ…だよね…

 私は…
 陽先輩と会ってから、陽先輩との思い出を、事ある毎に鮮明に思い出す。

 それと同時に…胸が締め付けられる。
 寂しさと好きだった記憶…

 もう…会わないほうがいいのかな…
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