どちらとの恋を選びますか?【前編】~元彼vs同期の秘めたる愛の行方
 垣谷先輩は座り直して、私の方に体を向けると、前のめりになって話し出した。

 「あいつ、卒業式の次の日から、親に言われて、ロサンゼルスに行ったんだ」
 「ロサンゼルス?」

 次の日…
 私が陽先輩を探し回った日…
 陽先輩はロスに向かったんだ…
 
 「丁度、冬月商事が手がけるホテルを建設するから、そっちで勉強するようにって」
 「えっ…」
 「ずっと悩んでいたよ。もしかして、戻ってこれないかもしれない、不安定な自分のこれからを。春風を待たせるか、別れるかって」
 「どうして私に…」
 「春風、まだ大学2年だったろ?それに、冬月だって、まだ大学を出たばかりだ。そんな選択が出来るわけないよ」
 「それでも、何も言わず、いなくなるなんて」
 「言おうと思っても、春風の笑顔を見ると、最後まで言えなかったって…あいつも…苦しんだんだ…」
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