どちらとの恋を選びますか?【前編】~元彼vs同期の秘めたる愛の行方
 あくる日のフェアの日、夏目君と待ち合わせをして、現地へ向かった。

 「春風、今日も頼むな!」
 「こちらこそ、宜しくね、夏目君!」
 フェアが始まる前、いつも夏目君と挨拶を交わし、握手をする。

 頼もしい手に包まれると、安心して、パワーを貰えるんだ…

 「さぁ、行こうか!」 
 夏目君のいつもの爽やかな笑顔…
 今までずっと見てきた笑顔だけど、今までとは違う感情が湧き上がる。

 安心感を与えてくれる笑顔に、ずっと支えられてきたんだ…
 そのいつもの笑顔に、胸がざわつく。

 フェアが始まり、人が瞬く間に来て、忙しくなってくる。
 それでも、夏目君とはインカムを使って端的な言葉と、目配せだけで、お互いが、次どうして欲しいか分かる。

 人が多くなり、私が対応に追われていると、
 「春風、そっち大丈夫か?」
 自分も忙しいのに、心配してくれた。
 「ちょっとキツイかも」
 「分かった。直ぐ行く」
 そして、チーム員に端的に指示をして、私の所に急いで来てくれた。

 告白されてから、男性と意識し始めると…
 仕草や言葉の温かさが、胸の中に流れ込む。

 今まで2人で過ごした時間は、あっという間だったけど、沢山の事を2人で乗り越えた。

 こんなに、息ぴったりで、気も遣わずに仕事が出来る夏目君。

 私を支えてくれて、守ってくれていた…
 当たり前の毎日は、当たり前じゃ無かったんだよね…
 自然な私のままで過ごせたのは、1番傍にいたのが、夏目君だったから…

 付き合っても、きっと変わらず、私のままでいられる。
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