ポケット
颯星から触れられなくなった最初の頃、美桃は浮気を疑いこっそりスマホを調べたことがある。しかし結果は白だった。颯星はマッチングアプリに登録してはおらず、会社の同僚とのやり取りもただの業務連絡のみだった。
浮気がないと知って安心できたのはほんの少しの間だけだった。美桃は前を歩く颯星を見つめながら思う。
(こんなに苦しいなら、浮気してくれていた方がよかったよ!)
自分に触れられなくなった理由がわからない。答えが見つからない。それがただ苦しいのだ。颯星の好みの服やメイクをしてみたものの、全く効果はない。
「楽しみだね」
「うん。そうだね」
たったその一言で会話が終わってしまう。電車が来るまでの間、周りの音がやけに賑やかだった。
「ずっと前から好きです。付き合ってください!」
高校の卒業式が終わった後、美桃は颯星に呼び止められ告白された。颯星とはただの友達だと思っていた美桃は、とても驚いたことを今でも覚えている。
浮気がないと知って安心できたのはほんの少しの間だけだった。美桃は前を歩く颯星を見つめながら思う。
(こんなに苦しいなら、浮気してくれていた方がよかったよ!)
自分に触れられなくなった理由がわからない。答えが見つからない。それがただ苦しいのだ。颯星の好みの服やメイクをしてみたものの、全く効果はない。
「楽しみだね」
「うん。そうだね」
たったその一言で会話が終わってしまう。電車が来るまでの間、周りの音がやけに賑やかだった。
「ずっと前から好きです。付き合ってください!」
高校の卒業式が終わった後、美桃は颯星に呼び止められ告白された。颯星とはただの友達だと思っていた美桃は、とても驚いたことを今でも覚えている。