ポケット
『コートのポケットの中、見て』

奇妙なメッセージに美桃は首を傾げる。このようなメッセージを颯星が送ってきたことは一度もなく、美桃は恐る恐るコートの上からポケットの上を叩いた。すると何かが入っている感触が手のひらに伝わってくる。

「えっ?何?」

いつの間に入れられていたのか。ポケットに入れた犯人はメッセージを送ってきた颯星だろう。美桃は「何だろう……」と呟きながらポケットに手を突っ込む。指先に硬いものが触れた。

「これ……」

ポケットに入っていたものを取り出した時、美桃の顔は驚きに染まる。彼女の手にあったのは小さな箱だった。ゆっくりと美桃は箱を開ける。そこにあったのは、ダイヤモンドが入った指輪だった。ダイヤモンドに街灯に照らされ、煌めいている。この指輪はーーー。

美桃が驚いていると、電話がかかってきた。颯星からだ。美桃はすぐに電話に出る。

「もしもし。この指輪どうしたの!?一体いつ私のコートのポケットに入れたの!?」
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