10年後、思い出したくなる物語


「あれ?国枝さん1人で持ってきたの?」


視聴覚室に戻ると末次先輩が私が抱えていたプログラムを半分持ってくれた。


「まだ半分くらいなんですけど…」

「あのコピー機おんぼろだからな。アイツは?」

「沢崎くんならまだ印刷室です」

「そーか。じゃあ先に続きの作業進めてもらおうかな」

「分かりました」


私は水筒のお茶をひと口飲むと、よしっと気合を入れた。


プログラムは3枚1セットなので、3枚ずつ順番に手に取りホチキスでひたすら止めていく。


パチン


パチン


ホチキスの独特の音だけが視聴覚室に響く。

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