10年後、思い出したくなる物語
「相変わらず帰んの早いなー」

末次先輩が、私がホチキス止めしたプログラムを紙袋に入れながらそう言った。

「本当ですね」

「面倒くさがるくせにちゃんと顔出すあたりがアイツらしいけど」

よく知ってるんだな。沢崎くんのこと。

「あの、先輩と沢崎くんって…」

「あぁ。同じ中学だったんだよ。部活の後輩」

身支度を整えた先輩は、歩きながら話そうと、出口を指差した。


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