君との恋のエトセトラ
第二十一章 ワンポイントレッスン
「わあ、なんて素敵!」
12月20日。
Moonlightのデザイン一式の納期がやってきた。
販促品に入れるチラシ、ポスター、商品のパッケージなど諸々の現物を持って、航は凛とMoonlight本社を訪れる。
「言葉もなく見とれちゃうわ。はあ、うっとり…」
次々と手に取りながら、梅田は感嘆のため息をつく。
「うん、いいですね。セレーネシリーズの格が一気に上がりましたよ。このデザインならデパートの店頭でも目を引くでしょう」
梶谷も大きく頷き、航と凛はホッと胸を撫で下ろした。
「ではあとは、ホームページと動画配信を進めます。こちらの内容をご確認ください。商品名、紹介文、価格などの記載に誤りがないかをチェックして頂ければ」
航はホームページの全ページを印刷したものをテーブルの上に差し出す。
「実際のページはトップがムービーになっておりまして、キラキラと輝くように商品が浮かび上がります」
そう言ってノートパソコンを操作して画面を二人に見せる。
「ひゃー、素敵!私のこだわりのキラキラがこんなふうに表現されるなんて。ありがとうございます!もう大満足です」
梅田は満面の笑みを浮かべた。
「ありがたいお言葉、とても嬉しいです。梅田さんには、今後メイクのワンポイントレッスンの動画撮影にご協力頂ければと。動画編集も、ぜひ梅田さんのこだわりに沿って進めさせて頂ければと思います」
「ほんとですか?!とっても楽しみです」
「撮影は一気に行いまして、それをポイントごとに短いコンテンツにして配信したいと考えています。撮影日なども相談させて頂けますか?」
「私はいつでも大丈夫です。うちのメイク室で撮影してもいいですか?」
「もちろんです」
「じゃあ、あとでスケジュールを確認して候補日をメールでお知らせしますね。えーっと、誰にメイクしようかな…」
顎の下に手をやってしばし考えていた梅田は、急に顔を上げて凛を見た。
「立花さん、いい?」
「は?!何が、でしょうか?」
「メイクのモデルさん。立花さんにメイクするところを撮影したいの」
いえいえ!と凛は慌てて否定する。
「それはいけません!セレーネシリーズのイメージガタ崩れです!」
「そんなことないわよ。それに立花さんみたいに、イケイケじゃない清楚な雰囲気の女の子が、セレーネを使ってガラリと変わるところを見せたいの」
「そ、それなら御社のお綺麗な社員さんに…」
「それがねー、みんなスッピンをさらすのは嫌がるのよね。立花さんならナチュラルメイクだから、スッピンもそんなに変わらないでしょ?」
「はあ、メイク下手なもので。お恥ずかしい」
「だからこそ、余計に立花さんがいいの。ね?お願い出来ない?」
クライアントからのお願いなんだけどなーとニヤリと言われ、うぐっと凛は喉を詰まらせる。
「か、かしこまりました。私で良ければ謹んでお引き受け致します」
「ほんと?やったー!ありがとう」
凛は苦笑いで頷いた。
12月20日。
Moonlightのデザイン一式の納期がやってきた。
販促品に入れるチラシ、ポスター、商品のパッケージなど諸々の現物を持って、航は凛とMoonlight本社を訪れる。
「言葉もなく見とれちゃうわ。はあ、うっとり…」
次々と手に取りながら、梅田は感嘆のため息をつく。
「うん、いいですね。セレーネシリーズの格が一気に上がりましたよ。このデザインならデパートの店頭でも目を引くでしょう」
梶谷も大きく頷き、航と凛はホッと胸を撫で下ろした。
「ではあとは、ホームページと動画配信を進めます。こちらの内容をご確認ください。商品名、紹介文、価格などの記載に誤りがないかをチェックして頂ければ」
航はホームページの全ページを印刷したものをテーブルの上に差し出す。
「実際のページはトップがムービーになっておりまして、キラキラと輝くように商品が浮かび上がります」
そう言ってノートパソコンを操作して画面を二人に見せる。
「ひゃー、素敵!私のこだわりのキラキラがこんなふうに表現されるなんて。ありがとうございます!もう大満足です」
梅田は満面の笑みを浮かべた。
「ありがたいお言葉、とても嬉しいです。梅田さんには、今後メイクのワンポイントレッスンの動画撮影にご協力頂ければと。動画編集も、ぜひ梅田さんのこだわりに沿って進めさせて頂ければと思います」
「ほんとですか?!とっても楽しみです」
「撮影は一気に行いまして、それをポイントごとに短いコンテンツにして配信したいと考えています。撮影日なども相談させて頂けますか?」
「私はいつでも大丈夫です。うちのメイク室で撮影してもいいですか?」
「もちろんです」
「じゃあ、あとでスケジュールを確認して候補日をメールでお知らせしますね。えーっと、誰にメイクしようかな…」
顎の下に手をやってしばし考えていた梅田は、急に顔を上げて凛を見た。
「立花さん、いい?」
「は?!何が、でしょうか?」
「メイクのモデルさん。立花さんにメイクするところを撮影したいの」
いえいえ!と凛は慌てて否定する。
「それはいけません!セレーネシリーズのイメージガタ崩れです!」
「そんなことないわよ。それに立花さんみたいに、イケイケじゃない清楚な雰囲気の女の子が、セレーネを使ってガラリと変わるところを見せたいの」
「そ、それなら御社のお綺麗な社員さんに…」
「それがねー、みんなスッピンをさらすのは嫌がるのよね。立花さんならナチュラルメイクだから、スッピンもそんなに変わらないでしょ?」
「はあ、メイク下手なもので。お恥ずかしい」
「だからこそ、余計に立花さんがいいの。ね?お願い出来ない?」
クライアントからのお願いなんだけどなーとニヤリと言われ、うぐっと凛は喉を詰まらせる。
「か、かしこまりました。私で良ければ謹んでお引き受け致します」
「ほんと?やったー!ありがとう」
凛は苦笑いで頷いた。