君との恋のエトセトラ
「さてと。どこに行きたい?」

ハンドルを握りながら、早速木原が凛に尋ねる。

「うーんと、特に希望はないです」
「あれ、考えてなかったの?」
「考えても思いつかなくて。広い公園はどうかなと思ったんですけど、もうすぐ雨が降りそうですしね」
「確かに。じゃあ屋外はまた今度。今日は映画にしない?」
「あ、はい」
「よし、決まり!」

木原は映画館がある大きなショッピングモールに車を停めた。

「えっと、凛ちゃんは何が観たい?」
「ホラーじゃなければ何でも大丈夫です」
「ホラー映画、ダメなんだね?」
「はい。眠れなくなっちゃうし、お風呂も怖くて入れません。それでなくても一人暮らしって心細いのに」
「そうか。それなら早く一人暮らしを卒業するといいよ。ベッドもお風呂も一緒に入ればいいしね」
「はい。…って、はい?!」

凛が素っ頓狂な声を出すと、木原は、あはは!と可笑しそうに笑った。
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