君との恋のエトセトラ

第二十八章 娘の父親

「えっ、そうか！驚いたな。いや、納得かも」

会社の休憩室。
凛と結婚する、と航が木原に告げると、複雑な思いもあるはずだが、木原は祝福してくれた。

「今までくっつかなかった方が不思議だったもんな。だから、俺にもチャンスがあるかも？なんて思ってしまった。だけど、そうだよ。どう考えてもお前の方がお似合いだ」
「木原…」
「おめでとう！航。けどな、これだけは言っておく。凛ちゃんの手を少しでも離してみろ。すぐに俺がかっさらうからな」

航は真剣な表情で頷く。

「ああ、分かった。必ずそばにいて、彼女を幸せにする。約束するよ」
「よし！あー、なんかスッキリしたわ、俺。優柔不断なお前のせいで、どれだけ振り回されたか。おい、お詫びに今夜おごれ」
「あ、はい。喜んでおごらせて頂きます」
「やったぜ！そうと決まれば、さっさと仕事片付けるか！」

木原は航の背中をバシッと叩いてから、オフィスに向かって歩き始めた。