君との恋のエトセトラ
ようやく唇を離すと、目を潤ませて凛が吐息を洩らし、航はその色っぽさに思わず凛を抱きしめる。

と次の瞬間、「やべっ!」と顔をしかめた。

ん?と凛が顔を上げると、航の視線の先には仏壇の父の写真があった。

「お父さんに見られちゃった…」

困ったように呟く航に、凛はぷっと吹き出す。

「そんなこと気にしてるの?」
「当たり前だよ。娘にキスする男なんて、張り倒されるに決まってる…」

そう言うと写真に向かって、すみません…と頭を下げる。

「あはは!航さんったら、本当に可笑しい」
「分かってないな、凛。娘を持つ父親って、どんな相手を連れて来ても結婚を反対するもんだぞ?ましてや目の前でキスなんかしたら…。ああ、本当にすみませんでした」

正座をして謝る航に、しばらく凛は笑い続けていた。
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