君との恋のエトセトラ
「航、凛ちゃん。結婚おめでとう!」

木原の音頭で、皆が口々に「おめでとう!」とグラスを掲げる。

木原が中心となって開いてくれた二人の結婚パーティー。

会場には営業一課の皆の姿はもちろん、クリエイティブ部やプロモーション部、そしてMoonlightの梶谷や梅田、妙と勝治も駆けつけてくれた。

凛は梅田にヘアメイクをしてもらい、この日の為に航がプレゼントした淡いピンクのワンピース姿だった。

「凛ちゃん、かっわいいー!口説いちゃおうかなー」

ご機嫌で凛に近寄る戸田に、航はジロリと鋭い視線を向ける。

「戸田。凛に指一本でも触れてみろ。タダで済むと思うなよ」
「怖っ!え、河合さん、そんなキャラでした?前は猿の惑星とやらに住んでませんでしたっけ?」
「はあ?お前は何を言っている」
「住んでましたよ。絶対に!」

不毛なやり取りをする航達に苦笑いしていると、木原が凛に近づいてきた。

「おめでとう、凛ちゃん」
「木原さん!ありがとうございます」
「これでようやく俺も安心したよ。これからは一人で無茶しないで、ちゃんと航を頼るんだよ?」
「はい。木原さん、色々と本当にありがとうございました」

頭を下げる凛に、木原は笑顔で頷いてみせた。

妙と勝治も、満面の笑みで二人を祝福してくれる。

「凛ちゃん、とっても綺麗。おめでとう!航さんといつまでも幸せにね」
「はい、ありがとうございます」

一人で上京した時は心細く、不安で一杯だった自分。
それが今はこうして、たくさんの優しい人達に囲まれている。
隣には、かけがえのない大切な人が微笑んでくれている。

凛は心から幸せな気持ちを噛みしめていた。
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