君との恋のエトセトラ
「おはようございます。わざわざすみません」
日曜日になると、航は車でマンスリーマンションに凛を迎えに来た。
「おはよう。荷物ってこれだけ?」
「はい」
恐縮しながら現れた凛は、スーツケース一つだけを手にしていた。
(うーん。女の子ならもっと生活用品とか服とか必要だろうのに)
凛に使ってもらう部屋にはひと通り家具があるが、やはりそれだけでは味気ない。
洋服や靴やバッグだって、これだけでは足りないだろう。
(でもこの子は自分の為にはお金を使わないだろうな。何かの折にプレゼント出来れば…)
そんなことを考えていると、凛がためらいがちに口を開く。
「あの…河合さん?どうかしましたか?」
「ん?ああ、ごめん。何でもないよ。じゃあ行こうか」
航はスーツケースをトランクに入れると、助手席のドアを開けた。
「どうぞ」
「はい。ありがとうございます」
凛は緊張した面持ちで、ちょこんと小さくシートに座る。
「あの、そんなに固くならないでくれる?なんだか俺まで手に汗握りそうだ」
「は、はい!すみません」
「いや、だから…。あー、ごめん。俺が気の利いた話でも出来ればいいんたけど」
「そんな!河合さんには全くもって非はありません。わたくしが不甲斐ないばかりにそのようなお気遣いをさせてしまい、大変申し訳ありません!」
「ちょ、あの、ますます堅苦しくなっていくんだけど?」
「はっ!すみません」
どうやっても腰の低い凛に、航はポリポリと頬を掻いてからハンドルを握る。
「では参りましょうか。お嬢様を安全に我が家までお連れ致します」
「そんな!かたじけのうございます」
「滅相もない。拙者にどうぞお任せあれ」
「はい。有り難き幸せに存じます」
真顔でやり取りした後、二人は顔を見合わせて同時に笑い出す。
「あはは!時代劇としては完璧だね」
「ふふ、そうですね」
「よし。じゃあ出発するよ」
「はい」
凛は笑顔で頷いた。
日曜日になると、航は車でマンスリーマンションに凛を迎えに来た。
「おはよう。荷物ってこれだけ?」
「はい」
恐縮しながら現れた凛は、スーツケース一つだけを手にしていた。
(うーん。女の子ならもっと生活用品とか服とか必要だろうのに)
凛に使ってもらう部屋にはひと通り家具があるが、やはりそれだけでは味気ない。
洋服や靴やバッグだって、これだけでは足りないだろう。
(でもこの子は自分の為にはお金を使わないだろうな。何かの折にプレゼント出来れば…)
そんなことを考えていると、凛がためらいがちに口を開く。
「あの…河合さん?どうかしましたか?」
「ん?ああ、ごめん。何でもないよ。じゃあ行こうか」
航はスーツケースをトランクに入れると、助手席のドアを開けた。
「どうぞ」
「はい。ありがとうございます」
凛は緊張した面持ちで、ちょこんと小さくシートに座る。
「あの、そんなに固くならないでくれる?なんだか俺まで手に汗握りそうだ」
「は、はい!すみません」
「いや、だから…。あー、ごめん。俺が気の利いた話でも出来ればいいんたけど」
「そんな!河合さんには全くもって非はありません。わたくしが不甲斐ないばかりにそのようなお気遣いをさせてしまい、大変申し訳ありません!」
「ちょ、あの、ますます堅苦しくなっていくんだけど?」
「はっ!すみません」
どうやっても腰の低い凛に、航はポリポリと頬を掻いてからハンドルを握る。
「では参りましょうか。お嬢様を安全に我が家までお連れ致します」
「そんな!かたじけのうございます」
「滅相もない。拙者にどうぞお任せあれ」
「はい。有り難き幸せに存じます」
真顔でやり取りした後、二人は顔を見合わせて同時に笑い出す。
「あはは!時代劇としては完璧だね」
「ふふ、そうですね」
「よし。じゃあ出発するよ」
「はい」
凛は笑顔で頷いた。