君との恋のエトセトラ
「この部屋を使ってくれる?ゲストルームなんだけど、まだ誰も泊まったことないから、ベッドも新品だよ」
「ええー?!これは使用人のお部屋ではありません。もっと狭いお部屋はありませんか?私には『起きて半畳寝て一畳』で充分です」
「ぶっ!君ってほんとに、真顔で色々面白いこと言うね」
「面白いですか?私は真面目に話してますが…」
「だから余計に面白いんだよ。あー、誰かとこの面白さを分かち合いたい」

はあ…と凛は気の抜けた返事をする。

「とにかく、ここより狭い部屋はないから、ここを使って。足りない物があったら言ってね。何か手伝おうか?」
「いえ!とんでもない」
「そう。じゃあごゆっくり」

そう言うと航は部屋を出ていった。
凛は改めてぐるっと室内を見渡す。

ゆったりとしたダブルベッドにナチュラルブラウンのデスクとチェア。
落ち着いたベージュの壁紙とカーテン。
壁一面のウォークインクローゼットは、スーツケースの中身を全部掛けてもまだまだ余裕がある。

「本当にいいのかしら?使用人なのにこんな贅沢な…。あ!大変。仕事しないと」

凛は慌てて部屋を出てリビングに向かった。
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