君との恋のエトセトラ
第八章 例のこと
「あー!やっぱり今月も航に持ってかれたー!」

月末恒例の飲み会。
お酒が進むと木原は悔しそうに声を上げる。

「見てろー。来月は絶対に俺がトップになってやる!ね、凛ちゃん」

話を振られて、凛はためらいながらも笑顔で頷く。

「はい。皆さんのサポートが出来るように、私も頑張ります」
「ありがとう!凛ちゃん」

木原はガバッと凛に抱きついた。

「あー!先輩、何やってるんですか!」

戸田が慌てて凛から木原を引き剥がす。

「もう、セクハラですよ!大丈夫?凛ちゃん」
「はい、大丈夫です」
「俺の隣にいなよ。守ってあげるから」

真顔でそう言う戸田に、木原が絡む。

「どっちがセクハラだよ!どさくさ紛れに凛ちゃんにくっつくな!」

揉める二人に課長が手を挟んだ。

「あー、もう!お前達、みっともないぞ。立花さん、はっきり言ってやって。成績上がらない人とはお話しませんって」
「課長!何てことを…」
「悔しかったらトップを取ってみなさいよ!って言ってるぞ?」
「凛ちゃんはそんなこと言いません!」

ワイワイ言い合う皆を、航は離れた席から複雑な気持ちで見ていた。

(木原の言葉通り、こんなにも彼女は皆に好かれているんだ)

そう実感し、小さくため息をついた。
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