君との恋のエトセトラ
第十章 Moonlightとの仕事
9月初旬。
少しずつ和らいではきたものの、残暑が厳しい日が続いていた。
いつものように定時で帰宅した凛は、一人で夕食を済ませるとソファで紅茶を飲む。
(もうすぐ9時か。河合さん、今夜も会食かな。夜食はそうめんくらいなら食べられそうかな?)
そう思い、先に天ぷらだけ揚げておく。
するとガチャッと玄関の開く音に続いて、ただいま!という声が聞こえてきた。
「お帰りなさい。早かったですね」
凛が振り返ると、リビングに入って来た航は息せき切って話し出す。
「うん、それが聞いて!」
珍しく興奮した様子の航に、凛はガスコンロの火を止めてキッチンを出た。
「どうかしたんですか?」
「ああ、新規の契約取れたんだ。化粧品メーカーの『Moonlight』の!」
「ええ?あの有名な?」
「そう。今まで一流女優を起用したテレビCMに力を入れていたけど、新発売の商品はイメージ広告にしたいんだって。それで先日うちが手掛けた化粧品の広告見て、声をかけてもらえたんだ。ほら、君がアドバイスしてくれた夜空の星のデザインの」
「そうなんですね!クリエイティブ部の皆さんのデザインが評価されたんですね。すごい!」
「君のおかげでもあるよ。本当にありがとう!」
「いえいえ、私なんて何も。河合さんのお力ですよ。わあ、でも良かったですね。お祝いしなくちゃ!」
そう言ってから、あ…と凛は動きを止める。
「どうしたの?」
「はい、それが…。河合さんのお夜食にそうめんでもどうかと思って、天ぷら揚げちゃって。お祝いメニューにはなりませんね」
「そんなことないよ。いいね、天ぷらそうめん。頂いてもいい?」
「はい。すぐに用意しますね。お祝いはまた改めて明日にでも」
「いいって、そんなの。それより俺こそ君にお礼をしないとな」
「まさかそんな。私は何も…。全て河合さんの」
「えーっと、そうめんはまだ?」
「あ、はい!すぐに」
慌ててキッチンに戻る凛にクスッと笑いながら、早速航はお礼に何をしようかと考え始めた。
少しずつ和らいではきたものの、残暑が厳しい日が続いていた。
いつものように定時で帰宅した凛は、一人で夕食を済ませるとソファで紅茶を飲む。
(もうすぐ9時か。河合さん、今夜も会食かな。夜食はそうめんくらいなら食べられそうかな?)
そう思い、先に天ぷらだけ揚げておく。
するとガチャッと玄関の開く音に続いて、ただいま!という声が聞こえてきた。
「お帰りなさい。早かったですね」
凛が振り返ると、リビングに入って来た航は息せき切って話し出す。
「うん、それが聞いて!」
珍しく興奮した様子の航に、凛はガスコンロの火を止めてキッチンを出た。
「どうかしたんですか?」
「ああ、新規の契約取れたんだ。化粧品メーカーの『Moonlight』の!」
「ええ?あの有名な?」
「そう。今まで一流女優を起用したテレビCMに力を入れていたけど、新発売の商品はイメージ広告にしたいんだって。それで先日うちが手掛けた化粧品の広告見て、声をかけてもらえたんだ。ほら、君がアドバイスしてくれた夜空の星のデザインの」
「そうなんですね!クリエイティブ部の皆さんのデザインが評価されたんですね。すごい!」
「君のおかげでもあるよ。本当にありがとう!」
「いえいえ、私なんて何も。河合さんのお力ですよ。わあ、でも良かったですね。お祝いしなくちゃ!」
そう言ってから、あ…と凛は動きを止める。
「どうしたの?」
「はい、それが…。河合さんのお夜食にそうめんでもどうかと思って、天ぷら揚げちゃって。お祝いメニューにはなりませんね」
「そんなことないよ。いいね、天ぷらそうめん。頂いてもいい?」
「はい。すぐに用意しますね。お祝いはまた改めて明日にでも」
「いいって、そんなの。それより俺こそ君にお礼をしないとな」
「まさかそんな。私は何も…。全て河合さんの」
「えーっと、そうめんはまだ?」
「あ、はい!すぐに」
慌ててキッチンに戻る凛にクスッと笑いながら、早速航はお礼に何をしようかと考え始めた。