君との恋のエトセトラ
「梶谷さん、今夜は本当にありがとうございました」

会はお開きとなり、ホールの扉の横でゲストを見送っている梶谷に、航と凛は改めて挨拶する。

「楽しんで頂けましたか?」
「はい!とても素敵なひと時でした」
「それは良かった。立花さん、これをどうぞ」

渡された紙袋を見て、凛は驚く。

「これ、新商品でしょうか?こんなにたくさん!よろしいのですか?」
「もちろん。ぜひ使ってください」
「ありがとうございます!」

梶谷は頷くと、それから…と改まった口調になる。

「立花さん。私達と一緒に仕事をしてもらえませんか?」
「か、梶谷さん!それは…」

約束が違うのでは?と、航は焦る。

「おやおや、そんなに慌ててどうかしましたか?河合さん。何か勘違いされているのでは?私は立花さんに、ぜひとも新商品の広告に携わって頂きたいとお願いしているのです。あなたと一緒に担当して欲しいとね」

は?と、凛と航は同時に聞き返す。

「わたくしが、御社の広告のお仕事を?」
「ええ。次回河合さんが打ち合わせにいらっしゃる際は、立花さんも一緒に来てもらえませんか?」
「いえ、あの。わたくしは営業の仕事も広告デザインのことも分かりませんので、足手まといなだけだと…」
「そんなことはありませんよ。ただ河合さんと一緒に来てくれるだけでいいのです。それならいいでしょう?」
「え?あ、はい。かしこまりました」
「良かった!楽しみにしています」

それではまた打ち合わせで、とにこやかに見送られ、凛と航はもう一度お辞儀をしてから会場をあとにした。
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