君との恋のエトセトラ
「では早速拝見しましょう」
「はい」
凛は固唾を呑んで、航がテーブルに3種類のデザイン画をゆっくりと広げるのを見守る。
梶谷と梅田は、じっと目を凝らして一つ一つのデザインとキャッチコピーを確認していた。
3つのキャッチコピー案は
「月の光で 私は変わる」
「月夜にかかる 女神の魔法」
「あなたに会いに、女神が導く」
それぞれフォントや配置を微妙に変えて、テイストが違うものになっている。
凛は梶谷と梅田の仕草をじっと見つめ、どれが一番興味を惹かれているかをうかがう。
だが二人とも、3つを見比べてはいるものの、明らかに迷っている様子だった。
それも良い意味ではなく、これと言って心惹かれるものはない、という表情で、凛は密かに落胆する。
「いかがでしょうか?率直なご感想をお聞かせ頂ければと存じます」
航が控えめに声をかけると、うーん…と梶谷は腕を組み「無難」とひと言呟いた。
「率直に申し上げるとそのひと言です。良くもないけど悪くもない。まあ、及第点というところかな」
梅田も小さく頷いて同意する。
「この中から選べと言われれば選びますが…」
すると航が、いえ!と声を上げる。
「もう少しお時間を頂けませんか?もう一度練り直して参ります」
「ですが、スケジュールもギリギリですしね。必ず良い案が浮かぶ保証があるならまだしも、そうでないのならここから選んだ方が…」
梶谷の言葉に航が諦めかけた時、凛が、あの…と手元の書類ケースから1枚のデザイン画を取り出した。
「こちらはいかがでしょうか?」
ん?と3人がテーブルの上を覗き込む。
デザインに添えられた言葉は…
………………………………………
「私を超えて 自分を魅せる」
【Selene】
月の女神がさずけた魔法
………………………………………
3人は無言のまま目を見開く。
長い沈黙の後、梶谷は小さく息を洩らして呟いた。
「これだな」
梅田もじっとデザインを見つめたまま頷く。
「素敵、かっこいい!こんなセリフ憧れちゃう。セレーネシリーズが持つ魅力をこんな言葉で言い表してくれるなんて…。もう私、鳥肌が立っちゃった」
ようやく顔を上げた梶谷と梅田は、嬉しそうに航と凛に笑いかける。
「これでお願いします」
「はい!かしこまりました」
凛も笑顔で力強く頷く。
航だけは、驚いたように凛の横顔を見つめていた。
「はい」
凛は固唾を呑んで、航がテーブルに3種類のデザイン画をゆっくりと広げるのを見守る。
梶谷と梅田は、じっと目を凝らして一つ一つのデザインとキャッチコピーを確認していた。
3つのキャッチコピー案は
「月の光で 私は変わる」
「月夜にかかる 女神の魔法」
「あなたに会いに、女神が導く」
それぞれフォントや配置を微妙に変えて、テイストが違うものになっている。
凛は梶谷と梅田の仕草をじっと見つめ、どれが一番興味を惹かれているかをうかがう。
だが二人とも、3つを見比べてはいるものの、明らかに迷っている様子だった。
それも良い意味ではなく、これと言って心惹かれるものはない、という表情で、凛は密かに落胆する。
「いかがでしょうか?率直なご感想をお聞かせ頂ければと存じます」
航が控えめに声をかけると、うーん…と梶谷は腕を組み「無難」とひと言呟いた。
「率直に申し上げるとそのひと言です。良くもないけど悪くもない。まあ、及第点というところかな」
梅田も小さく頷いて同意する。
「この中から選べと言われれば選びますが…」
すると航が、いえ!と声を上げる。
「もう少しお時間を頂けませんか?もう一度練り直して参ります」
「ですが、スケジュールもギリギリですしね。必ず良い案が浮かぶ保証があるならまだしも、そうでないのならここから選んだ方が…」
梶谷の言葉に航が諦めかけた時、凛が、あの…と手元の書類ケースから1枚のデザイン画を取り出した。
「こちらはいかがでしょうか?」
ん?と3人がテーブルの上を覗き込む。
デザインに添えられた言葉は…
………………………………………
「私を超えて 自分を魅せる」
【Selene】
月の女神がさずけた魔法
………………………………………
3人は無言のまま目を見開く。
長い沈黙の後、梶谷は小さく息を洩らして呟いた。
「これだな」
梅田もじっとデザインを見つめたまま頷く。
「素敵、かっこいい!こんなセリフ憧れちゃう。セレーネシリーズが持つ魅力をこんな言葉で言い表してくれるなんて…。もう私、鳥肌が立っちゃった」
ようやく顔を上げた梶谷と梅田は、嬉しそうに航と凛に笑いかける。
「これでお願いします」
「はい!かしこまりました」
凛も笑顔で力強く頷く。
航だけは、驚いたように凛の横顔を見つめていた。