君との恋のエトセトラ
「美味しい!」

ダイニングテーブルでおかゆをひと口食べると、凛はにっこり笑う。

「ほんとに?味見したけど、君の作ってくれる雑炊とはほど遠かった」
「とっても美味しいです。お腹ペコペコだったし、またこのテーブルで食べられるなんて嬉しくて…」
「それって、俺の作ったおかゆの味はどうでもいいってことだな」
「ち、違いますよ!塩気があって本当に美味しいです」
「まあ、塩しか入れてないからな」
「そうなんですか?ふふふ!」

すっかり元気になった様子の凛に、航も思わず頬を緩める。

「食べたらまた横になるんだぞ?明日も休みだし、もう一日ゆっくり寝て」
「ええ?!そんな。もう平気なので、食べたらマンションに帰ります」
「ダーメーだ!ぜっっったいにダメ!」

そんなに怒らなくても…と凛は首をすくめる。

「分かったら、ほら、早くベッドに戻って」
「…やだ」
「まだ言うの?この分からず屋さんは」
「だって、寂しいんだもん」
「え?」
「一人で部屋にいると、その、寂しくて…」

うつむいて小さく呟く凛に、航はふっと笑みを洩らした。

「分かったよ、寂しがり屋さん。それなら、ほら。ここのソファで寝な」
「うん」

素直にソファに横になる凛に、航はブランケットを掛ける。

「おやすみ」
「おやすみなさい」

頷いて立ち上がる航を、凛は目で追う。
航はキッチンで洗い物をした後、コーヒーを淹れてその場で飲み始めた。

(あ、立ち飲みしてる)

じーっと見つめていると、航が視線を上げた。

「何見てるの?」
「お行儀悪いなーと思って」
「なんだと?!」

あはは!と凛は可笑しそうに笑う。
そしてふと思いついたように口を開いた。

「河合さん。タブレットで食料品注文してもいいですか?」
「ん?ああ、いいよ。果物とかヨーグルトなら食べられそう?」

そう言って凛にタブレットを手渡す。
凛は、んー…と真剣に選びながら注文した。
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