童貞パパ
小夏:高校生の頃、剛志に色々言われてさ。勢いでビンタしてごめんね

剛志:あ、ああ。そんなこともあったな

小夏:あれはね、カッとなってビンタしたわけじゃなくて、剛志の言葉が怖くなったの

剛志:……俺の…言葉?

小夏:あの頃は確かに落ちぶれてたし、色々悩んでたし、間違ったことばっかしてた。だから剛志に正論言われることが怖くて、これ以上傷つきたくなくてビンタしたの

剛志:まあ、それはいいよ。俺も言い過ぎたし

小夏:あともう一つはねー。急に居なくなったこと。

剛志:………

小夏:あたしはさ、いつも剛志をからかってたけどね、本当は剛志に彼女が出来たことが寂しかったんだ

剛志:……な、なんでだよ

小夏:にゃは!それ聞くー?

剛志:べ、別に話したくねーならいいよ!

小夏:じゃあ、こういう言い方にするよ。からかってる時はあたしは剛志よりも勝ってる気がしたの

剛志:勝ってるってなんだ?

小夏:なんかね、気持ち的に?

剛志:よくわかんねーよ

小夏:でもそういうことなの。いつも剛志には勝てるって思ってたのに剛志に彼女が出来てなんか負けてる気分になったんだ

小夏:だからあたしは悔しくて、見返したくなったからパパ活して自分の体を汚してまでお金持ちになったら剛志に勝てると思ってた

小夏:……でもさ、そういうことで勝った気になんてなれるわけないよね

剛志:………そりゃあそうだろ。だから落ちぶれたって言ったんだ

小夏:ほんと、その通りだよ。もう剛志に合わせる顔もないと思ってたしね

小夏:ちゃんと高校卒業したけどその後ノリでロス行ったら変な男に捕まって失敗したし。最悪だったよ

剛志:そうだ、なんでロスでそんな男と……

小夏:なんでだろうね?あたしにもわかんない。地位の高い男と結婚して幸せな家庭でも築けたらまた剛志に勝てるかも。なんて思ってたんだよ

剛志:……よくわかんねーよ

小夏:でも、全部失敗しちゃったの。ロスに行ったことも、ろくでもない男と結婚したのも。

剛志:じゃあ…その男と何があったんだ?

小夏:………見る?

剛志:な、何を?
< 20 / 39 >

この作品をシェア

pagetop