きらめきクライマックス!
双子コンプレックス!

#朝陽side










「好きです!!!」




俺に向けられたわけじゃないその言葉、なぜだかスッと心地良く耳の奥へと落ちた。



突如として現れたその声。空に浮かぶ太陽なんかよりよっぽどキラキラと輝いていたその子の言葉が向けられていたのは、昔から変わらない無愛想な見知った顔だった。




俺と同じ顔をして、良くも悪くも性格や雰囲気は正反対だ、と言われる俺の双子の弟だった。



無愛想で無口、常に顔とオーラに不機嫌を乗っける俺の弟。いつしか本気で、本物の言葉をまっすぐぶつける人間はいなくなっていた。



久々に見た。あいつに、こんなふうにまっすぐ言葉を届けようとする人間を、久々に見た。



例えばそれが、思わず出てきてしまった言葉だったとしても、

深い意味のない言葉だったとしてもそれでも、



俺は、俺が(・・)、その姿に心を奪われてしまった。




顔も名前も知らないその後ろ姿とまっすぐな言葉に、いとも簡単に恋に落ちた。








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