きらめきクライマックス!
#衣月side
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──俺はたぶん昔から劣等感の塊だった。
「衣月くん、顔はいいのにね」
「もっと愛想よくすればいいのに」
「ほら、朝陽くんみたいに……」
周りの大人はいつも朝陽を褒めた。
周りの人間はいつも朝陽を好きだと言った。
俺に価値があるのは外見。朝陽と“同じ顔”。
俺は朝陽にはなれない。朝陽だって俺にはなれない。それでも、双子で、同じ顔だというだけで常に比較対象になる。
高校まで同じ学校になってしまってまだこの生活が続くのかとうんざりしていた入学1週間ほどが経過した頃、また現れた。
俺の外見だけを見て「好き」だという薄っぺらい言葉を投げた女が。黒髪を揺らして俺を見上げるその女は、俺に無責任な言葉を投げる不特定多数のうちの一人だ。
入学1週間、環境が変わって、俺のことを何も知らないくせに好きだなんだと言うのはこれで何人目だろうか。