きらめきクライマックス!
相変わらず不機嫌を身に纏い、冷たいオーラを放つ。静かで落ち着いていて、一歩引いて物事を観測しているような、するりとわたしの心に入り込んできた好きなひとと同じ顔なのに、全く真逆のひと。
甘ったるいチョコレートみたいな、衣月くんの匂い。想像通りのひと、だけどここにいる理由の説明にはならない。
おそらく、ここは保健室。滅多に使わないこの場所。保健室で横になっているわたしと、ベッドサイドのパイプ椅子に腰掛けている衣月くん。
取り合わせも状況も謎すぎて、どうして今こうなっているのか記憶を手繰り寄せるけど、朝陽に見惚れていたことしか思い出せない。あとは、それから、わたしが倒れてしまって、ここまで運んでくれたひとがいる。
ずっとずっとあったかくて、わたしの名前を呼んでいたひとがいる。肝心なところが、思い出せない。