きらめきクライマックス!
後ろから近づいて、後ろから声をかけたら、ゆっくりと足を止めて、後ろを振り返った。身長差は、20センチくらいだろうか。さらさらの黒髪を揺らして振り向いて、わたしの顔をとらえたその顔に、勝手にわたしは運命を感じてしまったのだ。
ときめき、きらめき、やっぱり今!この瞬間が最高潮だ。想像を遥かに超える整った顔、一目見て、顔の造形を分析することなく脳直で「かっこいい」と思わずこぼしてしまいそうな容姿だった。
「こ、これ、落としましたよ……!」
こんなことなら声をかける前にICカードに記載されている名前をしっかりばっちり確認しておくんだった。今、それを持つ手に視線を落とすことなんてできない。
だってもう、この人のこの綺麗すぎる顔に視線も心も奪われちゃったんだもん。
「……あぁ、どうも」
甘い顔立ちとは裏腹に、低くて冷めた声が降ってきたのも、もうそんなことどうでもよくて。私の手からスッと黒いレザーを受け取って、見惚れるわたしに構わずそのまま歩いていってしまおうとするから、反射的に腕を掴んでしまって、それで。
脳が考える前に音になって口から飛び出したのは、初めてのことだった。
「好きです!!!」