花森課長、もっと分かりやすく恋してくれませんか?
「……残念ですけど、私が欲しかった物の大半は手にしてしまいました。それも今日一日で」
課長のお陰で、言外に込め微笑む。課長が居なければ家族と和解が出来なかったし、仕事と向き合うのを躊躇った。勘違いしたまま、されたままの日々を過ごしていただろう。
「それは困りましたね、あなたには地位も財産もある訳で。我儘を言ってくれないと叶えてあげられない、私を困らせて振り回して欲しいです」
「ふふ、似合わない台詞。そんなに私で頭を一杯にしたい?」
「今も充分に香さんの事で一杯ですが、もっと、もっと知りたい。私しか知らない顔を探したいのでドレスを脱がすだけでなく、抱いてもいいですか?」
「課長は林檎を剥いたら食べないの?」
私の例えに一旦間を置き、普段しないであろう舌舐めずりをした。こんな風に興奮する課長をこれから私だけが見ていたい、他の人に見せたくない。
「食べますとも。残さず、全てを」
後は熱に溺れるだけ。押し倒されて見上げる視界は課長しか映らない。
好きです。
好きです、課長。
■
「はい、水です。飲めますか?」
「起き上がれない、飲ませてーーんっ」
口移しで水分補給をするのは明け方。帰ってきたのは確かに十九時過ぎだったから……頭の中で時計の針をクルクル回し、息をつく。
「課長ってばお若い」
喉が痛くて文句を長く言えない。
「ありがとうございます」
いやいや褒めてないし、睨むと笑顔で返されてしまう。しかも飽きずにキスを降らせてきた。
「んっん、だ、駄目ですってば、もう」
「あなたは泣き言を言い始めてからが可愛い。私を好きだ、好きだと泣いて喘ぐ姿は最高でしたよ?」
「そんな事を言ってません!」
いや、実は言ったのだけど。なんなら感極まり叫んでしまったかも。
濃厚な課長とのめくるめく記憶を再生し、頬が熱くなる。
「おや、私の聞き間違えでしょうかね? ならば改めて確かめなくては」
再び臨戦態勢に入ろうとする課長を慌てて止めた。
「いやいや、私の勘違いでした! 言いました、はい言いましたとも」
課長のお陰で、言外に込め微笑む。課長が居なければ家族と和解が出来なかったし、仕事と向き合うのを躊躇った。勘違いしたまま、されたままの日々を過ごしていただろう。
「それは困りましたね、あなたには地位も財産もある訳で。我儘を言ってくれないと叶えてあげられない、私を困らせて振り回して欲しいです」
「ふふ、似合わない台詞。そんなに私で頭を一杯にしたい?」
「今も充分に香さんの事で一杯ですが、もっと、もっと知りたい。私しか知らない顔を探したいのでドレスを脱がすだけでなく、抱いてもいいですか?」
「課長は林檎を剥いたら食べないの?」
私の例えに一旦間を置き、普段しないであろう舌舐めずりをした。こんな風に興奮する課長をこれから私だけが見ていたい、他の人に見せたくない。
「食べますとも。残さず、全てを」
後は熱に溺れるだけ。押し倒されて見上げる視界は課長しか映らない。
好きです。
好きです、課長。
■
「はい、水です。飲めますか?」
「起き上がれない、飲ませてーーんっ」
口移しで水分補給をするのは明け方。帰ってきたのは確かに十九時過ぎだったから……頭の中で時計の針をクルクル回し、息をつく。
「課長ってばお若い」
喉が痛くて文句を長く言えない。
「ありがとうございます」
いやいや褒めてないし、睨むと笑顔で返されてしまう。しかも飽きずにキスを降らせてきた。
「んっん、だ、駄目ですってば、もう」
「あなたは泣き言を言い始めてからが可愛い。私を好きだ、好きだと泣いて喘ぐ姿は最高でしたよ?」
「そんな事を言ってません!」
いや、実は言ったのだけど。なんなら感極まり叫んでしまったかも。
濃厚な課長とのめくるめく記憶を再生し、頬が熱くなる。
「おや、私の聞き間違えでしょうかね? ならば改めて確かめなくては」
再び臨戦態勢に入ろうとする課長を慌てて止めた。
「いやいや、私の勘違いでした! 言いました、はい言いましたとも」