花森課長、もっと分かりやすく恋してくれませんか?
「美味しそうです、本当に」

 恋人に対して呟く。

「でしょう? 我ながら上手に仕上げられたと思ってます」

 私の本音を見誤り、満面の笑みで彼女は喜ぶ。何を考えていたか知ったら、また分かりにくいと指摘されるのだろう。もしくはむっつりと揶揄される。

 だが、それでもいい。彼女は分かりにくければ理解しようと試み、私を知ろうとしてくれるから。

「頂きます」

 挨拶をして手を合わせる。デザートのスペースを確保しつつ、恋人が作ったピザを味わう。

「はい、花森部長は炭酸水。香ちゃんには栄養ドリンク」

 マスターが神妙な顔付きで瓶を渡していた。

「栄養ドリンク? これ徹夜明けとかに飲む高級品だよね?」

「香、悪い事は言わないから飲んでおきなさい。健闘を祈る」

「はぁ? 兄さんまでどうしたの?」

 様子がおかしいよねと同意を求められ、私は微笑んだ。


おわり

 
< 61 / 61 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:36

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

外商部御曹司は先輩彼女に最上級のロマンスを提供する

総文字数/70,453

恋愛(オフィスラブ)116ページ

マカロン文庫大賞2024エントリー中
表紙を見る
世界で一番幸せな花嫁になる為の復讐

総文字数/3,063

恋愛(純愛)1ページ

スターツ出版小説投稿サイト合同企画「1話だけ大賞」ベリーズカフェ会場エントリー中
表紙を見る
テクニカルラブフォール

総文字数/5,199

恋愛(純愛)9ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

始まりは愛のない契約でしたが、パパになった御曹司の愛に双子ごと捕まりました
  • 書籍化作品
[原題]美貌の御曹司は、薄幸の元令嬢を双子の天使ごと愛し抜く

総文字数/129,155

恋愛(純愛)268ページ

表紙を見る
腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

総文字数/79,463

恋愛(ラブコメ)218ページ

表紙を見る
結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
  • 書籍化作品
[原題]純白のヴィオラに永久の愛を~エリート官僚は運命の淑女と愛し子をあきらめない~

総文字数/87,564

恋愛(純愛)182ページ

表紙を見る

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop