【第二部】天妃物語 ~「私以外にもたくさん妻室がいた天帝にお前だけだと口説かれます。信じていいのでしょうか」~
「離れなさい! 紫紺と青藍に近づくことは許しません! だいたいあなた、どうやってここに入って来たんですか!」
私は咄嗟に寝間から花緑青を遠ざけました。
あんなに警戒していたのになんの気配も感じませんでした。それだけではありません。ここにいるということは、黒緋は……!
「あなた、黒緋様をどうしたのです! もし黒緋様になにかあったらただでは済みませんよ!!」
「ただでは済まないとは怖い怖い。だが、あんたがナニをしてくれるのか興味があるな~」
「ふざけた物言いをっ。黒緋様をどうしたのか早く言いなさい!」
「そうは言うけどさ、兄上ならそこにいるんだけど」
「え、黒緋様!」
振り返ると黒緋が苦笑して立っていました。
しかも……兄上? さっきからこの男、黒緋を兄上って……。
「黒緋様、これはいったいどういうことです! この男は何者ですか? どうしてここにいるんです! あなたを兄上って呼んでますけど……!」
黒緋に駆け寄りました。
黒緋は私の肩にやんわり手を置いて後ろに下がらせてくれます。
「鶯、驚かせて悪かった。花緑青、濡れたままうろうろするな」
黒緋がそう言うと式神の女官が現われて花緑青の濡れた髪や法衣を拭きだします。
しかも濡れたまま屋敷に入ってきたので、こんな時間だというのに拭き掃除まですることになって……。
なんて迷惑な!
黒緋の後ろからキッと睨みました。
それに気付いていながら花緑青は黒緋に親しげに笑いかけます。
「ごめん、兄上。久しぶりに兄上に会えたからはしゃいじゃったみたいだ」
「仕方ない奴だな」
悪びれない花緑青に黒緋が呆れた口調で言いました。
でも黒緋はどこか嬉しそうな目で花緑青を見ています。
そんな二人の雰囲気に私は困惑してしまう。
「黒緋様、説明してください。これはいったいどういうことなんです? 知り合いなんですか?」
「知り合いもなにも、俺の弟だ」
「弟!?」
思わず声を上げました。
黒緋の口から告げられれば疑いようがありません。
私はあんぐりと花緑青を見つめます。
そんな私に花緑青がニヤリと笑う。
「よろしくね、義姉上」
私は咄嗟に寝間から花緑青を遠ざけました。
あんなに警戒していたのになんの気配も感じませんでした。それだけではありません。ここにいるということは、黒緋は……!
「あなた、黒緋様をどうしたのです! もし黒緋様になにかあったらただでは済みませんよ!!」
「ただでは済まないとは怖い怖い。だが、あんたがナニをしてくれるのか興味があるな~」
「ふざけた物言いをっ。黒緋様をどうしたのか早く言いなさい!」
「そうは言うけどさ、兄上ならそこにいるんだけど」
「え、黒緋様!」
振り返ると黒緋が苦笑して立っていました。
しかも……兄上? さっきからこの男、黒緋を兄上って……。
「黒緋様、これはいったいどういうことです! この男は何者ですか? どうしてここにいるんです! あなたを兄上って呼んでますけど……!」
黒緋に駆け寄りました。
黒緋は私の肩にやんわり手を置いて後ろに下がらせてくれます。
「鶯、驚かせて悪かった。花緑青、濡れたままうろうろするな」
黒緋がそう言うと式神の女官が現われて花緑青の濡れた髪や法衣を拭きだします。
しかも濡れたまま屋敷に入ってきたので、こんな時間だというのに拭き掃除まですることになって……。
なんて迷惑な!
黒緋の後ろからキッと睨みました。
それに気付いていながら花緑青は黒緋に親しげに笑いかけます。
「ごめん、兄上。久しぶりに兄上に会えたからはしゃいじゃったみたいだ」
「仕方ない奴だな」
悪びれない花緑青に黒緋が呆れた口調で言いました。
でも黒緋はどこか嬉しそうな目で花緑青を見ています。
そんな二人の雰囲気に私は困惑してしまう。
「黒緋様、説明してください。これはいったいどういうことなんです? 知り合いなんですか?」
「知り合いもなにも、俺の弟だ」
「弟!?」
思わず声を上げました。
黒緋の口から告げられれば疑いようがありません。
私はあんぐりと花緑青を見つめます。
そんな私に花緑青がニヤリと笑う。
「よろしくね、義姉上」