【第二部】天妃物語 ~「私以外にもたくさん妻室がいた天帝にお前だけだと口説かれます。信じていいのでしょうか」~
「せいらん、あしたはどこいく?」
「あう?」
「オレはやまにのぼって、かわであそびたい。つりもするんだ」
「ばぶぶっ」
「せいらんはまだあかちゃんだからみてろ。わかった?」
「あう?」
「オレがおっきいおさかなつってやるから、いいこでみてるんだぞ。わかった?」
「あう?」
「わかった?」
「あい」
青藍がこくんと頷きます。
青藍はまだ赤ちゃんなのできょとんとしていますが、紫紺は楽しそうに構ってくれていました。
花緑青も酒を飲みながらそれを見ていましたが、ふと口を開く。
「紫紺と青藍は仲がいいんですね。幼いとはよいことです」
「そうだな。青藍はいつも紫紺にくっついて回っている。ハイハイで追いかけるそうだ」
「ハハハッ、それはいい。幼いうちから仲違いもあると聞くこともあるが、兄上のところに限っては心配ないようだ。これも義姉上のご尽力の賜物でもあるのかな。地上にいるといろんな兄弟を目にするものですから」
花緑青がニコリと笑って言いました。
血縁とは不思議なもので、なによりも強い絆が結ばれるものでありながら、ひとたび断ち切れればなにより深い亀裂となるもの。
政争の火種となれば呪い呪われの憎悪が生まれ、血で血を洗う争いとなり、果ては何万何千もの人々を巻き込む戦にだってなりかねないものなのです。
地上で修行していた花緑青はそういった光景を幾度となく目にしてきたのでしょう。
そんな花緑青が笑顔で目を細め、なにげなく口を開く。
「今はよい時期だ。なんの柵も憂いもない。なにも分からないから純粋だ」
笑顔なのに僅かに混じった皮肉。ここには黒緋もいるというのにこのような物言いをするなんて、溢れでた本音というものでしょうか。
私は一秒目を閉じて、ゆっくり目を開く。花緑青にニコリと笑いかけます。
「今だけがよい時期なのではありません。これからも続きます。私が続かせます」
笑顔できっぱり言い返しました。
紫紺と青藍に芽生えた兄弟の絆はこれからも続くもの。決して断ち切れることはないのです。
花緑青から一瞬表情が消えて、でもすぐに人好きのする笑みを浮かべました。
「あう?」
「オレはやまにのぼって、かわであそびたい。つりもするんだ」
「ばぶぶっ」
「せいらんはまだあかちゃんだからみてろ。わかった?」
「あう?」
「オレがおっきいおさかなつってやるから、いいこでみてるんだぞ。わかった?」
「あう?」
「わかった?」
「あい」
青藍がこくんと頷きます。
青藍はまだ赤ちゃんなのできょとんとしていますが、紫紺は楽しそうに構ってくれていました。
花緑青も酒を飲みながらそれを見ていましたが、ふと口を開く。
「紫紺と青藍は仲がいいんですね。幼いとはよいことです」
「そうだな。青藍はいつも紫紺にくっついて回っている。ハイハイで追いかけるそうだ」
「ハハハッ、それはいい。幼いうちから仲違いもあると聞くこともあるが、兄上のところに限っては心配ないようだ。これも義姉上のご尽力の賜物でもあるのかな。地上にいるといろんな兄弟を目にするものですから」
花緑青がニコリと笑って言いました。
血縁とは不思議なもので、なによりも強い絆が結ばれるものでありながら、ひとたび断ち切れればなにより深い亀裂となるもの。
政争の火種となれば呪い呪われの憎悪が生まれ、血で血を洗う争いとなり、果ては何万何千もの人々を巻き込む戦にだってなりかねないものなのです。
地上で修行していた花緑青はそういった光景を幾度となく目にしてきたのでしょう。
そんな花緑青が笑顔で目を細め、なにげなく口を開く。
「今はよい時期だ。なんの柵も憂いもない。なにも分からないから純粋だ」
笑顔なのに僅かに混じった皮肉。ここには黒緋もいるというのにこのような物言いをするなんて、溢れでた本音というものでしょうか。
私は一秒目を閉じて、ゆっくり目を開く。花緑青にニコリと笑いかけます。
「今だけがよい時期なのではありません。これからも続きます。私が続かせます」
笑顔できっぱり言い返しました。
紫紺と青藍に芽生えた兄弟の絆はこれからも続くもの。決して断ち切れることはないのです。
花緑青から一瞬表情が消えて、でもすぐに人好きのする笑みを浮かべました。