【第二部】天妃物語 ~「私以外にもたくさん妻室がいた天帝にお前だけだと口説かれます。信じていいのでしょうか」~
謎のおみくじ屋と天上の妃
地上、京の都。
地上の京の都は御所を中心にして造られた都です。
御所の周りには貴族が暮らす寝殿造りの屋敷が整然と建ち並んでいました。その一角に都でも稀代の陰陽師と名高い黒緋の屋敷があります。
そこが私たちが地上で暮らしている寝殿造りの屋敷でした。
そう、地上では私たちが天上の天帝や天妃であることを秘密にして陰陽師ということにしているのです。
そしてさっそく黒緋は陰陽師として御所へ赴くことになりました。
帝や貴族の要望でもありますが、それ以上に情報収集が目的です。御所の役所には各地からあらゆる情報が集まってくるので情報収集にはうってつけの場所なのです。その情報は噂話から公式文書まで多岐にわたりますが、今は少しでも各地で大発生しているイナゴの情報を集めなければいけませんでした。
「黒緋様、いってらっしゃいませ」
私は正門まで黒緋を見送りです。
手を繋いでいる紫紺にも促しました。
「紫紺、あなたもご挨拶してください」
「わかった。ちちうえ、いってらっしゃい」
「ああ、行ってくる。鶯の言うことをよく聞くんだぞ?」
「うん、できる」
「いい子だ」
黒緋はそう言って紫紺の頭を撫でると、次は私が抱っこしている青藍を見ます。
青藍は「ちゅちゅちゅっ」と指吸いをして見送りです。
「あうあ〜。ちゅちゅちゅっ」
「行ってくる。お前もいい子でいろ。泣きすぎるなよ?」
「あい」
青藍も上手にお返事できました。
きっと今日もたくさん泣くでしょうがいいのです。元気な証拠です。
「あとは頼んだぞ」
黒緋が牛車に乗り込みました。
御所へ向かう牛車を見送ると、私は紫紺と青藍と一緒に屋敷に戻ります。
今日は予定がたくさんつまっていました。
久しぶりに地上の屋敷に来たので朝から炊事と掃除です。黒緋は式神にさせればいいと言いますが、自分でできることは少しでも自分でしたかったのです。
天上では私の身の回りの世話は女官がしてくれるので、地上でくらい自分のことは自分でしたいのです。天妃の記憶が戻るまではずっと下働きをしていたので、体を動かしていなければなんだか落ち着かなくて。
「さあ、紫紺と青藍も手伝ってください。昼までにお掃除を終わらせてしまいましょう」
「うん、オレがんばれる! いっぱいきれいにするぞ!」
紫紺が元気に返事をすると、抱っこしている青藍も「あいっ」と楽しそうに手を上げてくれます。
こうして私たちの地上での生活が始まるのでした。
地上の京の都は御所を中心にして造られた都です。
御所の周りには貴族が暮らす寝殿造りの屋敷が整然と建ち並んでいました。その一角に都でも稀代の陰陽師と名高い黒緋の屋敷があります。
そこが私たちが地上で暮らしている寝殿造りの屋敷でした。
そう、地上では私たちが天上の天帝や天妃であることを秘密にして陰陽師ということにしているのです。
そしてさっそく黒緋は陰陽師として御所へ赴くことになりました。
帝や貴族の要望でもありますが、それ以上に情報収集が目的です。御所の役所には各地からあらゆる情報が集まってくるので情報収集にはうってつけの場所なのです。その情報は噂話から公式文書まで多岐にわたりますが、今は少しでも各地で大発生しているイナゴの情報を集めなければいけませんでした。
「黒緋様、いってらっしゃいませ」
私は正門まで黒緋を見送りです。
手を繋いでいる紫紺にも促しました。
「紫紺、あなたもご挨拶してください」
「わかった。ちちうえ、いってらっしゃい」
「ああ、行ってくる。鶯の言うことをよく聞くんだぞ?」
「うん、できる」
「いい子だ」
黒緋はそう言って紫紺の頭を撫でると、次は私が抱っこしている青藍を見ます。
青藍は「ちゅちゅちゅっ」と指吸いをして見送りです。
「あうあ〜。ちゅちゅちゅっ」
「行ってくる。お前もいい子でいろ。泣きすぎるなよ?」
「あい」
青藍も上手にお返事できました。
きっと今日もたくさん泣くでしょうがいいのです。元気な証拠です。
「あとは頼んだぞ」
黒緋が牛車に乗り込みました。
御所へ向かう牛車を見送ると、私は紫紺と青藍と一緒に屋敷に戻ります。
今日は予定がたくさんつまっていました。
久しぶりに地上の屋敷に来たので朝から炊事と掃除です。黒緋は式神にさせればいいと言いますが、自分でできることは少しでも自分でしたかったのです。
天上では私の身の回りの世話は女官がしてくれるので、地上でくらい自分のことは自分でしたいのです。天妃の記憶が戻るまではずっと下働きをしていたので、体を動かしていなければなんだか落ち着かなくて。
「さあ、紫紺と青藍も手伝ってください。昼までにお掃除を終わらせてしまいましょう」
「うん、オレがんばれる! いっぱいきれいにするぞ!」
紫紺が元気に返事をすると、抱っこしている青藍も「あいっ」と楽しそうに手を上げてくれます。
こうして私たちの地上での生活が始まるのでした。