続・小さな恋のメロディ~貴方が好きです~
思い出場所を一つ一つ回って行くと、辺りはすっかり暗くなっていた。


「どうする?」

「…初めて泊ったホテルに行きたい」

「うん」


私達は何故か無口で…。

ううん、本当は何で無口なのかは分かってる。
きっと哲平も……。



そして初めて泊ったホテルの前に行くと、ホテルは無くなっていて、奇麗なカラオケ屋が建っていた…。

私達はそのカラオケ屋を眺めながら、哲平に言った。


「入ろうか?」

「えっ?」

「今日はここで明かそうよ」

「…そうだな!」


私達は何かを吹っ切ったように、カラオケ屋に入った。



私は気付いたんだ。
時間はちゃんと進んでいる事に……。


あの頃をどんなに懐かしんでも、この兵庫の街並みの様に確実に時は流れて、変化する…。

私が鳴海と過ごした時間があるように、哲平には哲平の時間が流れていたんだ。



流れた時間は、取り戻す事は出来ない……。


ねぇ、哲平も気付いてるでしょ?


私達二人が過ごした時間は、思い出しか残ってない事。



今、過ごしている時間の中で、一番大切な人…。


< 122 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop